おすすめアンティークコインのジャンル5選!【アンティーク金貨・金メダル】
「アンティークコインは範囲が広すぎる」という悩み
アンティークコイン投資の特徴や目的が分かった。
資産防衛・資産保全のためにも一枚試しに買ってみようかな。
と、いざアンティークコイン投資を始めようと思ったが「いつの時代」の金貨・銀貨を買って良いのか分からない。
ましてや「いつの時代」だけでなく、「どこの国」の金貨・銀貨をを買ったら良いかさえ分からない。
インターネット上の情報がまだまだ煩雑で体系化されていないため、アンティークコイン投資は少し取っかかりづらい。
このように悩まれる方も多いのではないでしょうか。
(ANTIQUE COIN COLLECTIONのおすすめアンティークコイン一覧)
現人類が初めて貨幣を造ったのは紀元前670年頃だと言われています。
アナトリア半島(現在のトルコの一部)の「リディア王国」で発明されたエレクトラム貨(自然にできた金と銀の合金の貨幣)が人類最古の貨幣です。
紀元前670年前から現在までの約2700年間という非常に長い期間から価値あるアンティークコインを探さなければなりません。
またアンティークコインの種類は約20万枚以上あると言われています。
20万種類の銘柄の中から価値あるアンティークコインを選定していく。
国や地域もたくさんあるため、金貨・銀貨の選定以前の問題として、スタートする前から途方に暮れてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
この「アンティークコインの範囲が広すぎる」という入門のハードルを下げることはできないか。
なんとか体系化し、アンティークコイン(金貨・銀貨)についてもっとイメージしてもらいやすくはならないか。
これらを解決するため、アンティークコインをジャンル(分野)分けしました。
たくさんの魅力的なコインがある中で「メジャー」と思われるジャンルを厳選し、5つにまとめました。
少しでもアンティークコイン投資入門のきっかけになっていただければ幸いです。
この記事を読むと、アンティークコインの「メジャーなジャンル」を把握することによって、アンティークコインの購入・落札までのハードルが劇的に下がります。
また自分に合ったジャンルを知ることができ、今以上にアンティークコインに興味を持つことができます。
それではアンティークコインのメジャーな5つのジャンルを見ていきましょう。
(並びは順不同です。そして他にも魅力的なジャンルはたくさんあります!)
おすすめコインジャンル1. ヨーロッパコイン
ヨーロッパコインはアンティークコインの代表格と言っても過言ではないぐらい伝統的で歴史が長いです。
そして有名・人気なコインが多いです。
対象期間は、おおよそ5世紀から15世紀の中世・そして近現代までの約1500年間を指します。
伝統のヨーロッパコインの中でも、発行種類数と認知度ともにメジャーであるのはやはり「イギリスコイン」です。
イギリスコインの種類が多い理由は、イギリスがスペイン・ポルトガルにかわって海洋貿易の覇権を握り、さらにフランスとの植民地争いにも勝利し、国力を強めたためです。
そのため、世界中の金がイギリスに集まりました。
そして権力の象徴として多くのコインが発行されています。
金貨のデザインも美しいものが多く、裏面も王朝の紋章などが精巧に刻印されていたりなど、眺めていても非常に楽しめます。
彫刻家ウィリアム・ワイオン
イギリスコインでもっとも有名で人気の彫刻家と言えば、ウィリアム・ワイオンが選ばれるでしょう。
彼は世界中で認知されている天才彫刻家であり、あの世界一美しい金貨と言われている「ウナとライオン金貨」や、アイルランド・イングランド・スコットランド三美神を擬人化した「スリー・グレイセス銀貨」をデザインした人物です。
ウィリアム・ワイオン作の金貨銀貨
ウナとライオン5ポンド金貨
スリー・グレイセス銀貨
ウィリアム・ワイオンがデザインしたイギリスコインは世界中で人気があります。
続いて代表的なイギリスコインの金貨の種類を2つご紹介します。
ソブリン(ポンド)金貨
ソブリン金貨とは19世紀初頭(1817年)から発行されたイギリスの代表的な金貨です。
1ソブリン金貨は現在も利用されている通貨単位1ポンド(GBP)金貨に相当する金貨です。
アンティークコインと言えば、主にこのソブリン(ポンド)金貨をイメージされる方も多いでしょう。
有名ソブリン金貨2選
ヴィクトリア ソブリン金貨 「ヤングヘッド」
ギニー金貨
ギニー金貨はギニア産の金を用い鋳造されたていたため、そのように呼ばれました。
ギニー金貨が登場するまで、ノーブル金貨、クラウン金貨、ユナイト金貨、リアル金貨、エンゼル金貨、ローレル金貨…などの雑多なそれら金貨を統一するために初めて作られ統一金貨です。
1ギニー≒1ポンドです。(1シリングだけ1ギニーの方が大きい)
17世紀中盤から前述のソブリン金貨に取ってかわるまでの約150年間に発行されたイギリス金貨です。
代表的なギニー金貨は残存数も少なく状態の良い金貨を中心に高値を付け、今も更新し続けています。
コレクション対象にも投資対象にもなるアンティークコインの一つです。
有名ギニー金貨2選
ジョージ2世5ギニー金貨
ウィリアム&メアリー5ギニー金貨
本場ヨーロッパはイギリスだけでなく、フランス・ドイツ・オーストリア・オランダ・スペイン・イタリア・スイスなどの他の国でも魅力的な金貨・銀貨がたくさん発行されています。
需要もしっかりしており、長期保有・値上がり期待ともに申し分ないでしょう。
おすすめコインジャンル2. アメリカコイン
次にアメリカコインを見ていきましょう。
アメリカは西洋一の先進大国のためアンティークコインの需要も大きく、市場もヨーロッパと同等か、または世界一と言って良いほど大きいです。
アンティークコイン大手鑑定機関のNGC社・PCGS社はどちらもアメリカに本社があります。
もともとヨーロッパでは鑑定(グレーディング)の文化があまり浸透していなかったようで、今でもヨーロッパのオークションでは未鑑定の裸コインが多く出品されています。
アメリカのアンティークコイン需要の高まりで鑑定(グレーディング)がどんどんとなされるようになり、私たち日本人も安心してコインを購入できるようになってきました。
そして今現在、史上最高値で落札された金貨はアメリカのダブルイーグル金貨です。
米金貨、20億円超で落札 硬貨で世界最高額 (リンク先:AFPBB News)
しかしアメリカの歴史は約300年程度と浅いためコインの種類はヨーロッパと比べて少ないです。
そのため、発行年・造幣局・グレード・鑑定会社などが価格・価値に大きな影響を与えます。
彫刻家セントゴーデンズ
アメリカコインで有名な彫刻家はセントゴーデンズです。
1904年にルーズベルト大統領が全てのアメリカ金貨を最も美しく改良するようセントゴーデンズに依頼しました。
セントゴーデンズがデザインした金貨を「セントゴーデンズ金貨」と呼んでいます。
彼は彫刻界の指導的立場にいました。
そしてコインだけでなく、その他公共の場の美しい彫刻なども数多く残しています。
それではセントゴーデンズ金貨も含めた代表的なアメリカコインの金貨を見ていきましょう。
ダブルイーグル金貨
「ダブルイーグル」とはアメリカの20ドル金貨の呼称です。
イーグルとは、イーグル=10ドルを基準とした単位でドルの額面によって「イーグル」、「ハーフイーグル」、「クォーターイーグル」と呼ばれます。
「ダブルイーグル」の20ドル金貨が主要な金貨です。
それではダブルイーグル金貨(20ドル金貨)の中でも代表的な種類を3つご紹介します。
1.セントゴーデンズ金貨
セントゴーデンズ金貨は先程ご紹介した彫刻家セントゴーデンズがデザインした金貨です。
表面には右手に聖火、左手にオリーブの枝を持った自由の女神の立像が刻印されています。
裏面にはアメリカ合衆国の国鳥ハクトウワシ(イーグル)が刻印されています。
1907年の初年に発行されたセントゴーデンズ金貨は約12,000枚発行され、翌年以降のセントゴーデンズ金貨に比べ「ハイレリーフ(立体的に)」に鋳造されており、アメリカで最も美しいコインといわれています。
アメリカを象徴する非常に美しいデザインです。
2.リバティヘッド金貨
リバティヘッド金貨はアメリカを代表するコインの一つです。
1850-1907年にかけて鋳造されました。
表面にはリバティキャップを被った自由の女神の頭像と13個の星の輪が刻印されています。
裏面にはオリーブの枝と3本の矢を爪で掴んだ、イーグルと盾が刻印されています。
リバティヘッド金貨は、総計で約1億枚ほど鋳造されましたが、回収され溶解されたものが多く、鑑定グレードがMS63以上の完全未使用品は約1%もないと言われています。
3.ウルトラハイレリーフ金貨
ウルトラハイレリーフ金貨とは、セントゴーデンズ金貨の2009年単年度発行バージョンで、重厚感があり非常に人気の金貨です。
ウルトラハイレリーフは「超立体」という意味のため、非常に立体的で美しいデザインなのですが鋳造が非常に難しく、実用的ではないと1年のみで打ち切られたようです。
コインの厚みは4mmもあります。
この厚みをいかした深い刻印によって陰影が強調され、コインが非常に美しく輝きます。
単年度発行ということもあり、希少性があり人気が高いアメリカコインです。
他にも魅力的なアメリカコインがたくさんありますので、興味を持たれた方はお調べしてみてください。
おすすめコインジャンル3. 古代コイン
古代コインとは、我々の現人類が初めて貨幣を造ったとされる紀元前670年頃から西ローマ帝国滅亡までの476年頃までの約1200年の金貨・銀貨と定義します。
「古代ギリシャ」や「古代ローマ」などのヨーロッパのコインがメインです。
古代コインの前期にあたる古代ギリシャコインの多くは、ギリシャ神話に登場する神々や動物、武器道具が主に刻印されており、人物の肖像は刻印されていませんでした。
紀元前27年の帝政ローマの古代ローマコインから皇帝や人物の肖像が刻印されるようになりました。
その初代ローマ皇帝はアウグストゥスと呼ばれています。
デザインも地域によって非常にユニークで興味深いです。
古代コインの留意点は、金の発見・精錬が今よりも難しかったため金貨自体の重さと大きさは近代の金貨に比べ、軽く小さい傾向があります。
しかしながらしっかりと全世界で認知されており、コレクターにとっても投資家にとっても人気・需要があります。
古代という区分の通り、発行から非常に長い年月が経っているためコインの残存数も少なく、希少性は抜群です。
何よりそのような古代の金貨・銀貨が現在も形を残して輝いているというのは本当に驚きです。
ロマンがありコレクションしたいジャンルの一つです。
それでは古代ギリシャコインの金貨と古代ローマコインの金貨をそれぞれ2つずつ紹介します。
有名古代ギリシャ金貨2選
アレクサンドロス3世 スターテル金貨
世界最古リディア王国 金貨(エレクトラム貨)
有名古代ローマ金貨2選
カエサル アウレウス金貨
コンスタンティヌス1世 ソリドゥス金貨
おすすめコインジャンル4. デザイン・精巧さ重視コイン
おすすめコインジャンルの4つ目として、デザイン・精巧さ重視コインというものがあります。
実際にデザイン・精巧さ重視でコインを選び、コレクションしているコレクターの方もたくさんいらっしゃいます。
アンティークコインは美術品ですので、デザインが美しいコインはやはり万人を魅了します。
ある国のある特定のデザインの金貨が人気など、ピンポイントな人気銘柄コインも複数あります。
もちろん需要が高いため、投資対象にもなります。
そして美術品として楽しみながらコレクションができます。
代表的なデザイン・精巧さ重視のコインは、ドイツのポルトガレッサー金メダル(ポルトガローザー金メダル)です。
ポルトガレッサー(ポルトガローザー)金メダル
ポルトガレッサーとは、PORTUGUEZ(ポーチュゲス)と呼ばれるポルトガルの大型金貨をもとにした金メダルです。
16世紀半ばから17世紀にかけて主にドイツのハンブルクで発行された記念の目的で発行されたポルトガレッサー金メダルと、17世紀から19世紀半ばに主に銀行の取引時に発行されたバンクポルトガレッサー金メダルがあるようです。
多くは10ダカットの価値があります。
ダカットとはヨーロッパ間で使用された通貨の単位です。
国によってはドゥカートと呼びます。
ポルトガレッサー金メダルは主に結婚式や出産、その他メモリアル記念の贈呈品としての用途で鋳造されました。
そのため、流通前提の貨幣とは異なり、丈夫さよりデザインの美しさ・精巧さを重視し造られています。
そのデザインの美しさ・精巧さと金の輝きが相まって、非常に美しい芸術品として高値で取引されている傾向にあります。
また、ポルトガレッサーのような10ダカット金メダルだけではなく、6ダカット・8ダカット・12ダカット・20ダカットとその他の大きさの金貨・金メダルも人気です。
名作ポルトガレッサー2選
ドイツ ハンブルク ポルトガレッサー金メダル
ドイツ ハンブルク銀行初のポルトガレッサー金メダル
それではもう一つ、デザインが人気の別の金貨を見ていきます。
ドイツ領ニューギニア 極楽鳥 1895年 10マルク金貨
もともとは前年1894年度発行の同極楽鳥の「銀貨」のデザインが非常に人気でした。
ドイツがニューギニア地方を植民地としていた時の極楽鳥をデザインとしたコインです。
極楽鳥のデザインが美しいと世界中で人気が高まり高値が付いています。
今では20マルク金貨で1000万円を超えるようになってきました。
ドイツ領植民地のコインの中でも最高傑作と言われているコインのため、近年では再発行を繰り返し、2020年モデルも新たに発行されて人気を博していました。
名作極楽鳥金貨の比較
1895年 極楽鳥 20マルク金貨
2020年 極楽鳥 500キナ金貨
このようにデザイン重視でアンティークコインを選ぶこともできます。
人気があるコインを選べば、目でデザインを楽しみながら値上がり期待もできるでしょう。
おすすめコインジャンル5. アジアコイン
最後にアジアコインを紹介いたします。
近年アジアコインは特に値上がり幅が大きく、投資対象としても非常に注目されているジャンルの一つです。
日本のコインだけでなく、周りの中国・ベトナム・タイなどのアジア圏の金貨銀貨の価格が著しく上昇しています。
特に中国が大きな経済成長を遂げているため、中国人富裕層が価格上昇をもろともせず、飛ぶ勢いで中国の金貨・銀貨または周りの国の金貨・銀貨を落札しているようです。
値上がり狙いというより、資産防衛・資産保全の一環かと思われます。
アジアコインをうまく活用すれば資産保全だけでなく、大きな価格上昇によるキャピタルゲインも得ることができる可能性があるかもしれません。
値上がりしているアジアコインの金貨を2つ紹介します。
値上がりアジア金貨2選
日本 明治3年 旧二十圓金貨
(1870年 旧20円金貨)
日本の金貨の歴史は、江戸時代までは小判・大判や二分金のような楕円形や長方形が主で、デザインなどは重要視されていませんでした。
開国の明治維新期からイギリスに習い、現在の一般的な円状の金貨が発行されました。
デザインの考案時には、「天皇の肖像を金貨に刻印することは失礼にあたる。そのため人物像以外を刻印、かつ日本の威信にかけ世界に誇れる精巧なデザインにするように」と命じられたようです。
そして画像のような美しくも猛々しい龍のデザインが採用されました。
当コインの鋳造枚数は約46,000枚です。
しかしながら大半が昭和恐慌の際に海外に流出して溶解されたようです。
また、終戦後にGHQの管理下に移されてしまいました。
その後、日本政府に返還されましたがそのまま大蔵省の金庫に保管されいてました。
2005年にようやく政府が保有するすべての明治金貨をオークションで販売する流れになったようです。
特に明治3年の旧二十圓金貨は残存数が少ないため希少性が高く、日本でも年々価格が上昇しています。
こちらは主要な日本オークションの落札価格データをグラフ化したものです。
明治3年(1870) 旧20円金貨グラフ
グラフからもお分かりいただけるように、年々価格が上昇しています。
日本にも種類は少ないですが魅力的なアンティークコインがあることが嬉しいですね。
ベトナム 安南(アンナン) 金貨
19世紀中頃、現在のベトナムはフランスの植民地になっておりその地域を「安南(アンナン)」と読んでいたようです。
そのアンナンの金貨は、おそらくは中国の影響で漢字が刻印されており、主に贈呈や褒章用としてごく少数のみ発行されていたようです。
特徴として金貨を首から下げるため、金貨の上下に人力で穴を開けたものが多く、穴が開いていないものは高値で取引されています。
いくつか種類があるようですが、状態が良いものでおおよそ400~1000万円を推移しています。
どこの国のコレクターの方に人気があるのかは不明でしたが、確かに販売・落札履歴は需要の高さを示しており、日本でも何度か出品され、数百万円の高値で落札されていました。
アンナン金貨は少し上級者向けかもしれませんが、投資対象として面白い銘柄です。
いかがでしたでしょうか。
アンティークコインは種類が多いので、まずは大きなジャンルを把握し、ご自身が興味を持てそうなジャンルの金貨・銀貨から価格などを調べていくと楽しみながら購入まで至ることができるかと思います。
そしてあなたも気が付けばアンティークコインのコレクション性と資産性に魅了されているのかもしれません。
アンティークコイン投資を始めると、人類の歴史に詳しくなり現在の社会の成り立ちの理解も深まります。
知らずながらも先人の知恵を学ぶことができます。
その副産物として、今までより物事を俯瞰的に捉えることができ、ご自身の考えや判断にも良い影響を与えることもあるのかもしれません。
歴史に想いを馳せ、楽しみながらアンティークコインをコレクション&投資していきましょう。
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